内視鏡による犬の膀胱ポリープ切除
背景
間歇的血尿や頻尿を主症状とする慢性炎症で、感染や膀胱結石等の慢性刺激が関与していると考えられます。粘膜からの絨毛状ないしポリープ状の形態で膀胱の頭腹側に発生しやすく、肉眼的には膀胱腫瘍との識別は困難です。比較的稀な疾患とされています。
症例
シーズー(メス・9才)
レントゲン検査 | 膀胱内小結石 |
---|---|
血液検査 |
|
尿検査 |
|
薬剤感受性テスト (Sensitive) |
DOXY・CVA・AMPC・ST |
エコー検査 | 膀胱頭側に8mm×18mmの円柱状ポリープ様病変を認める |
膀胱鏡検査 |
|


設備
- カールストルツカメラ
- オリンパス製光源
- 1.9mmシース付テレスコープ
- オリンパス製URF-P3
- セブンディメンション

手術
- 膀胱部分切除
- 膀胱壁の軽度腫脹
- 触診にて硬結感
- 内視鏡光源により膀胱内の腫瘤病変が投射された
- 支配血管が明瞭
- 膀胱粘膜側を内視鏡で確認しながらポリープ様病変周囲に4-0マキソン糸を用いて膀胱壁側にランドマーク縫合
- ランドマークに沿って切開切除
- 組織診断・結石分析
- 線維性ポリープ
- シュウ酸カルシウム
- 尿酸アンモニウム複合結石


術後管理および予後
抗生物質、止血剤、U/D(ヒルズ)食餌療法のみで経過良好
終わりに
内視鏡(膀胱鏡)検査は膀胱粘膜を直接観察できることで、他の画像診断よりも多くの情報を得られます。また、組織の診断に必要な生検材料も有効に採取することができ、正確な切除マージン(切除する範囲)の決定にも応用できます。
手術の際は、内視鏡光源の投射によって外側から腫瘤の位置を推測し、さらに粘膜側を内視鏡で確認しながら切除を行います。
今回は開腹による切除を行いましたが、ポリープのサイズによってはポリペクトミー切除(開腹をしない手術)の実施も可能です。

ご紹介した症例は当院における臨床症例の一部であり、全ての症例に適用されるものではありません。また、記事の内容は掲載時のものであり、現状と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
この記事の更新日:2012年4月17日